オールドローズ
   Old Rose


シャポー ド ナポレオン
Chapeau de Napoleon
      

系統=原種  咲き方=一季咲き  
香り=強いダマスク香
作出年=????  













オールドローズの中でも、特に私の心を揺さぶる品種の一つ。

特に「こういうバラがあるからオールドローズが止められない」と思わせる品種。

名前のシャポー・ドゥ・ナポレオンとは「ナポレオンの帽子」。名が示すように独特で異様な鍔片(写真では花の左横に写っています)からモスローズという分類にも入ります。個人的には、鍔辺に棘が密集している他のモスローズと比べ、「ちょっとやりすぎ」と感じるくらいのこのバラの鍔は一線を画していると思っています。その蕾の独特さは鶏の鶏冠にも例えられ別名のクレステッド・モスや学名のRosa×centifolia var. cristataとも表わされています。

名前からして蕾の独特さに目が行きがちですが、学名が示すように、このバラはセンティフォリアの変異種(とも考えられています)。鶏冠なり帽子なりの、この異様な蕾が割れるとダマスクの香りを漂わせながらセンティフォリア(百枚の花弁)が顔を出します。

来歴は幾つかあるそうで、実際本によって作出者の名前が異なったりしています。

なぜか。

紹介者としてビベールが1827年に紹介したことになっていますが、もともとはスイスのフリブール郊外にある修道院(尼僧院?)の崖の割れ目に生えていたバラ、だと「伝えられている」そうです。

(詳しく確かめる術が私にはないので、市販の書籍から色々と調べるだけですから、どの来歴がどれくらいの信憑性があるのか確証もとれませんが)

歴史的に見て、民衆のバラ栽培を禁じていた時代があるそうです。日本でいうところの「茶を飲みまじく候。」ってやつなんでしょう。なので、バラを植えることができたのが宮殿の庭園か薬用として教会や修道院だけだったそうです。

そういう歴史の流れの中に埋もれていたバラ。

シャポー・ドゥ・ナポレオンがシャポー・ドゥ・ナポレオンとなったのは、その時代よりも遥か前なのか?誰かが持ち込んだものなのか?その修道院で生まれたのか?

およそ改良の末に生み出されたとは思えない異様な花姿、自然の悪戯。 当然ルドゥテのバラ図譜やその他の植物画にも描かれてないバラですから、総じて考えると、「このバラが存在しているという事実のみが確かなもの」なんでしょう。

ただ荒削りで野性的な美しさがバラが人の歴史に寄り添っているのではなく、バラにはバラの時間が流れているのだよ、と言ってる様に感じます。
私の住むところでは5月中旬くらいからこの花が咲き始めます。枝があまり出ず樹形のまとまりの悪いバラですが、このバラの向こうに、見たこともない修道院の崖の割れ目に確かに息づくシャポー・ドゥ・ナポレオンの姿を思い浮かべながら、この花を楽しんでいます。








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